HOME > フジテレビKIDS be絵本大賞 受賞作品『かいとう あっというま』

第10回フジテレビKIDS be絵本大賞 大賞
かいとう あっというま

フジテレビKIDS、BSフジ、ポニーキャニオン、扶桑社が創設したbe絵本大賞。
最終選考委員は、秋元康氏、茂木健一郎氏、武田双雲氏の3名。
応募数727作品の第10回be絵本大賞の中から選ばれた大賞作品「かいとう あっというま」の紹介です。
かいとう あっというま

あらすじ

楽しい時間があっというまに終わってしまうのはなぜ?
それは、「かいとう あっというま」という大泥棒のしわざ。
遊園地や誕生会の楽しい時間を「かいとう あっというま」 は、アッというまに盗んでいく。
時間が足りなくて何もできないと言う人たちのため、ある日、偉大な科学者が「あっというま」を捕まえた。時間はたっぷりになり、
人々は大喜び。楽しい時間がいつまでも続くようになった時、
人々がとった行動とは…。そして、それを知った「かいとう あっというま」がしたこととは…。

かいとう あっというま「誕生秘話」

僕は美大卒業後フリーターをしながらミュージシャンを夢見てライブハウス等で活動していましたが、
26才の時に断念。その後、結婚し初の就職。しかし組織に馴染めず職を転々。何がしたいのか迷走する中、
子どもが生まれ、あまりの可愛さにずっと一緒にいたいと思い会社を辞め独立しました。
この子どもとの出会いが僕の今までの価値観や考え方をガラッと変えてくれたのです。

独立当初は仕事は僅かしかなかったけれどたくさんの時間がありました。
おかげで子どもと過ごす時間はたっぷりでき、ボランティアの参加もできました。
この経験を通してうまれたたくさんの気づきや気持ちを、25年前から書き溜めていた日記綴っていきます。
嬉しかったこと大変だったこと、人生で大切なことや、幸せの答えなど。
そのノートからうまれた処女作が、今回、大賞受賞をいただいた『かいとう あっというま』だったのです。
子どもの成長は嬉しくも、少し淋しくなることもある。
どうして楽しい時間はアッというまに過ぎてしまうのだろう…。
そんなメモ書きから誕生した物語なのです。

最終選考委員3名の選評

秋元 康 氏
子どもの頃から不思議に思っていました。楽しい時間はあっというまに過ぎてしまうけれど、勉強とか嫌なことは、なかなか時間が過ぎないのはなぜだろう。そういう大人になっても、だれもがずっと考えていることをテーマに、ストーリーとしてここまでおもしろく仕上げた塚本さんはすばらしい才能の持ち主だと思います。
 「かいとうあっというま」というタイトルも、そして、この絵も構図もすばらしい。
 まず、ストーリーや企画を思いついたら、そのストーリーを絵本の規定枚数、あるいは、想定した枚数に割り振りをしなくてはいけないですよね。台割です。さらにそれを、一枚の絵でどのようにストーリーを組み立てていくか。この映画でいうところのカット割りが非常によくできていました。
 今回もいろいろな作品の応募があり、楽しみに全部見ましたが、この作品を読み始めた時点で「大賞作品はこれだな」と思ってしまいました。それくらいクオリティが高くおもしろい作品でした。大好きな作品です。
茂木 健一郎 氏
今年も本当にすばらしい作品がいっぱい集まりました。
 この作品は、脳は、ほとんどの情報はイメージから受けとめているのですが、そのイメージの世界で、よく考えられた情報の伝え方をしています。このような作品は珍しいと思います。
 キャラクターもかわいいですし、それと構図が、ちょうど脳に一番いいかたちで物語がストンとはいってくるような構図になっている。これは、まさに芸術ですよね。
 作者の塚本さんは脳科学者じゃないと思いますが、脳科学者と同じくらい人間の脳のことをわかっていますね。本当にすばらしい作品でした。
武田 双雲 氏
これまで感動作品はたくさんありましたが、完成度ということでは、ぼくの中ではこの作品が一番です。
 ぼくはアインシュタインが大好きで相対性理論というのがありますが、このストーリーはまさにその世界で、時間とはなにかを考えさせてくれる。最新の科学では、時間というものは三次元の世界では矢印が一方向に向かっていますが、四次元、五次元の世界では、そもそも時間などというものはあったり、なかったりと般若心経の世界になってくる。
 そういう言葉にできない世界をこんなファンタジーに表現できているこの作品は、アインシュタインが生きていたら、絶対喜ぶ絵本だと思います。
 人間と時間というテーマをここまでの画力で表現できるというのはすごい事だと思います。あと、本文中「ずっというま」という言葉がでてくるのですが、「あっというま」と「ずっというま」という日本語の使い方もすごく好きです。「かいとうあっというま」はシリーズ化もできそうで、伸びしろがまだまだありそうですね。
 こういう作品がbe絵本大賞から生まれるのはすごくうれしく思います。
 受賞の塚本さんおめでとうございます。これからも頑張ってください。
出典・引用:be絵本大賞より http://p-kies.net/be-ehon/2017/yell_01.html
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